6月に入ると、日本列島は本格的な梅雨の季節を迎えます。長雨による地盤の緩み、河川の増水、土砂崩れ——毎年この時期になると、各地で大小さまざまな災害が発生し、地域住民の生活を脅かします。そして梅雨が明けた後には、今度は台風シーズンが続きます。日本は地形的にも気候的にも、水害や土砂災害と切り離せない宿命を持った国です。

こうした自然災害に対して、行政や地域がどれだけ備えられているかは、平時の「準備」にかかっています。その準備を支える技術の一つとして、近年あらためて注目を集めているのが「測量」です。測量というと、工事現場や道路整備のイメージを持たれることが多いですが、実は防災・減災の最前線においても、測量技術は欠かせない役割を担っています。本記事では、梅雨・台風シーズンを前に、災害対策における測量の意義と、地域密着型の測量会社が果たすべき公共的な役割について考えていきます。

災害は「知らなかった」では取り返しがつかない

土砂災害や洪水は、突然やってくるように見えて、実はその「素地」は長い時間をかけて積み上げられています。急傾斜地の地盤が年々少しずつ動いていたり、河川の堆積物が増えて水位が上がりやすくなっていたり、護岸の一部が知らないうちに損傷していたり。そうした変化を見逃さずに把握しておくことが、災害前の備えとして何より重要です。

ハザードマップはその典型例です。洪水や土砂災害のリスクを地図上に示したハザードマップは、住民の避難計画や行政の防災施策の基礎資料として広く活用されています。しかし、ハザードマップは「地形・地盤・河川の現状データ」をもとに作成されるものであり、その精度は測量データの精度に直結します。古くなったデータや粗い解像度のデータをもとに作られたハザードマップでは、実際のリスクを正確に反映できません。

近年の気候変動による豪雨の激甚化を踏まえると、ハザードマップを含む防災基礎データは定期的に更新されることが理想です。現況の地形を高精度に把握するための測量は、災害に強い地域づくりの「出発点」といっても過言ではありません。

「現状把握」こそが、防災の第一歩

災害対策を語るとき、多くの議論は避難計画や防災設備の整備に向きがちです。しかし、その前段として「今、この地域がどういう状態にあるのか」を正確に知ることが、あらゆる対策の土台となります。

例えば、斜面の傾斜角度や土の性質、植生の状態は土砂崩れのリスクを左右します。河川の断面形状や流速、堤防の高さと損傷状況は、洪水時の氾濫シミュレーションの精度を決定します。これらの情報は、現地を詳細に測量・調査して初めて得られるものです。衛星画像や地図では補いきれない「現場の実態」を数値として把握すること——それが、精度の高い防災計画を立てるための根幹となります。

UAV LiDARをはじめとするドローン測量技術の進化は、こうした現状把握の精度と速度を飛躍的に向上させました。航空機やヘリコプターでは時間とコストがかかり、人が歩いて調査するには危険な急斜面や深い谷も、ドローンであれば安全かつ短時間で高密度の3次元点群データとして取得することができます。このデータは地形モデルとして活用でき、浸水シミュレーションや土砂流出予測など、さまざまな防災解析の入力データになります。

災害発生時こそ、測量技術の「速さ」と「安全性」が問われる

平時における現状把握の重要性に加えて、実際に災害が発生した「その後」にも、測量技術は大きな力を発揮します。

大雨や台風で土砂崩れが起きたとき、行政や復旧担当者がまず必要とするのは「被害の全体像の把握」です。どこがどれだけ崩れたのか、道路や河川はどのような状態にあるのか、二次災害のリスクがある箇所はどこか——これらを迅速かつ正確に把握しなければ、適切な復旧計画を立てることができません。

しかし、災害直後の現場は非常に危険です。不安定な斜面、冠水した道路、倒木や落石の危険……人が立ち入って目視で確認することは、二次被害を招くリスクと隣り合わせです。こうした状況でこそ、ドローンによる上空からの調査・計測が真価を発揮します。人を危険にさらすことなく、被災エリアの全体を短時間で記録・計測できるドローン測量は、災害対応の「初動力」そのものです。

セイエン株式会社が活用するUAV LiDARは、単に写真を撮るだけでなく、レーザー計測によって地形の3次元形状を精密に取得します。樹木の下に隠れた地表面のデータも取得できるため、見た目の状況だけでは判断できない地形変化や崩壊の兆候を、数値として明らかにすることが可能です。こうした技術力こそが、「迅速に、かつ安全に」被災状況を把握するための鍵となります。

地域密着の測量会社だからこそ、果たせる役割がある

大規模な災害が発生したとき、全国規模の企業や行政の広域支援が到着するまでには、どうしても時間がかかります。その「空白の時間」に、地域の実情を熟知した地元の測量会社が動けるかどうかは、地域の復旧速度を大きく左右します。

地元密着の測量会社には、その地域の地形・道路事情・重要施設の位置などを熟知しているという強みがあります。「あの山の斜面は昔から地滑り履歴がある」「この河川は少しの雨でも下流が溢れやすい」——そうした地域固有の知見は、データだけでは補えない現場判断力の源泉です。

また、普段から自治体や地域のインフラ管理部門と連携して業務を行っている地元測量会社は、緊急時にもスムーズに行政と協力体制を取れるという信頼関係の蓄積があります。測量は「公共性の高い技術」です。道路、橋梁、河川、ライフライン……地域を支えるあらゆるインフラは測量データを基盤として整備・管理されており、その担い手として地域に根ざした測量会社の存在は、いわば「見えないインフラ」そのものと言えるかもしれません。

梅雨・台風シーズンを前に、今できること

梅雨入り前のこの時期は、防災の準備を見直す絶好のタイミングです。道路や河川、斜面などのインフラ施設の点検・調査を前倒しで実施し、現状データを更新しておくことで、万一の際の初動対応を格段にスムーズにすることができます。

また、過去に測量を実施した施設でも、数年が経過していれば地形が変化している可能性があります。特に過去に水害や地すべりの被害を受けたエリアは、継続的なモニタリングが欠かせません。ドローン測量を活用すれば、広範囲を効率的に、そして定期的に計測することが可能であり、経年変化の追跡にも威力を発揮します。

まとめ

梅雨・台風シーズンの到来は、地域の安全を守るインフラの底力が問われる季節でもあります。災害対策の基盤となる現状把握から、発災直後の迅速・安全な被災調査まで、測量技術は防災・減災のあらゆる局面で欠かせない役割を担っています。

セイエン株式会社は、市街地から山林、災害現場まで、あらゆる環境に対応できるUAV LiDARをはじめとするドローン測量技術と、地域に根ざした豊富な実績をもとに、皆さまの地域の安全・安心を支え続けます。防災に向けた事前調査や、インフラの現状把握に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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