ドローンを業務や趣味で活用している方にとって、見過ごせない法改正の動きがあります。2026年3月24日、政府は「小型無人機等飛行禁止法」(正式名称:重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律)の改正案を閣議決定し、今国会への提出を決定しました。

今回の改正案の目玉は、重要施設周辺の飛行禁止エリアが従来の「300メートル」から「約1,000メートル(1キロ)」へと大幅に拡大されることと、違反に対する「直罰化(即時の摘発)」の導入です。ドローン業務に携わる測量・点検事業者はもちろん、趣味でドローンを楽しむすべての人にとって、この改正の内容を正確に理解しておくことが急務となっています。

そもそも「小型無人機等飛行禁止法」とは何か

小型無人機等飛行禁止法は、国会議事堂、首相官邸、外国公館、防衛関係施設、原子力事業所、指定空港といった重要施設の上空やその周辺地域での小型無人機等の飛行を禁止するために設けられた法律です。平成28年(2016年)に制定され、その後、防衛関係施設の追加(令和元年改正)や空港の追加(令和2年改正)を経て、今日に至っています。

この法律が航空法と大きく異なる点は、機体の重量を問わないことです。航空法では100g未満のドローンは規制対象外となりますが、小型無人機等飛行禁止法では100g未満のいわゆるトイドローンも飛行禁止の対象となります。また、航空法に基づく飛行許可・承認を取得していたとしても、小型無人機等飛行禁止法の禁止エリアでは飛行することができません。この「二重規制」の構造を理解していないと、合法のつもりで飛行させていたにもかかわらず違反となるリスクがあります。

なぜ今、法改正が必要になったのか

改正の背景として、近年のドローンの急速な性能向上があります。数年前のコンシューマー向けドローンと比較すると、現在の機体は時速100キロを超える速度での飛行や、数キロ先まで安定した高画質映像の伝送が可能なものも珍しくありません。こうした性能向上は測量・点検業務などへの活用幅を広げる一方で、テロや重要施設への意図的な侵入といったセキュリティ上の脅威を格段に高めることにもなります。

警察庁は昨年12月にまとめた有識者検討会の報告書において、現行の300メートルという禁止範囲では高性能ドローンの脅威に対応しきれないという課題を指摘しました。例えば、最新ドローンが300メートルの距離から高精細カメラで重要施設を鮮明に撮影できる、あるいは高速飛行で一気に敷地内まで侵入できるという現実

改正案の2つの柱:エリア拡大と直罰化

飛行禁止エリアが300メートルから1,000メートルへ

現行法では、対象施設の敷地・区域そのものの上空(レッドゾーン)と、その周囲おおむね300メートルの地域(イエローゾーン)でのドローン飛行が禁止されています。今回の改正案では、このイエローゾーンが「おおむね1,000メートル(1キロ)」へと約3倍以上に拡大されます。

1キロという距離感は、地図上で見ると非常に広大です。例えば首相官邸を中心に1キロ圏を描くと、霞が関や永田町の広範囲が含まれます。都市部に立地する原子力関連施設や防衛施設周辺でも同様で、これまで合法的に飛行できていた場所が禁止エリアに入るケースが続出することが予想されます。「以前ここで飛ばせたから大丈夫」という経験則は、改正法の施行後には通用しなくなります。

イエローゾーンでの直罰化

もう一つの大きな変更が、直罰化の導入です。現行法では、イエローゾーン(300メートルの禁止エリア)でドローンを飛行させた場合、まず警察官等から退去命令や飛行妨害等の措置が行われ、その命令に違反した場合に初めて罰則が適用される仕組みになっています。いわば「警告」のステップが存在していました。

改正案ではこの構造が変わり、新たな1,000メートルのイエローゾーン内での飛行は、警告なしに即座に罰則の対象となります。これが「直罰化」です。アソラボドローンスタディによると、改正後のイエローゾーン内飛行に対しては「6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」が予定されています。なお、対象施設の敷地・区域そのものの上空(レッドゾーン)の罰則は、現行の「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が引き続き適用される見込みです。

測量・点検業務への影響

業務上ドローンを活用する測量・インフラ点検事業者にとって、この改正は実務に直結する問題です。特に都市部での測量や、橋梁・道路・電力施設などのインフラ点検において、飛行エリアが重要施設の1キロ圏内に入るケースは少なくありません。

現行法でも、対象施設の管理者の同意を得た飛行や、国・地方公共団体の業務として行う飛行については禁止の例外が認められています。しかし、エリアが1キロに拡大されることで、これまで事前確認の必要がなかった現場でも対象範囲に入るリスクが高まります。改正法が施行される前から、現場ごとの飛行計画に重要施設との位置関係を必ず確認する運用体制を整えておくことが不可欠です。

ただし正式な施行日は国会での法案審議・成立後に確定するため、警察庁の公式サイトや関係省庁の発表を随時確認することが重要です。

航空法との違いを改めて整理する

この法改正を機に、航空法と小型無人機等飛行禁止法の違いについて、改めて整理しておくことをお勧めします。

航空法は国土交通省が所管し、飛行空域や飛行方法、機体登録、技能証明といったドローン飛行全般を規制する基本的な法律です。一方、小型無人機等飛行禁止法は警察庁が所管し、重要施設の周辺という特定のエリアに絞った飛行禁止規制です。主管官庁が異なることからも、双方を独立した法律として別々に確認する習慣が求められます。航空法上の許可や技能証明は、小型無人機等飛行禁止法上の禁止エリアへの飛行を合法化するものではありません。この点は特に業務利用者が誤解しやすいポイントですので、注意が必要です。

まとめ:法改正を「自分のこと」として捉えることが重要

小型無人機等飛行禁止法の法改正は、一部の専門家だけが気にすればよい話ではありません。業務用であれ趣味用であれ、100g未満のトイドローンであれ、ドローンを飛ばすすべての人に関わる制度変更です。

飛行禁止エリアが1キロに拡大されると、これまで問題なく飛行できていた場所が規制対象に変わる可能性があります。さらに直罰化によって、「知らなかった」では済まされないリスクが格段に高まります。施行前からGISや飛行支援アプリを活用して最新の規制エリアを確認する習慣を身につけ、万全の準備を整えておきましょう。

セイエン株式会社では、UAV LiDARをはじめとする最新のドローン測量技術を駆使しながら、常に法令遵守を最優先とした業務運営を徹底しています。飛行禁止エリアや各種申請に関するご相談も含め、ドローン活用に関する疑問はお気軽にお問い合わせください。

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